SEOの知見を深めるうえで重要な用語として「ページランク」があります。これはGoogleがWebページの評価を行うために導入したアルゴリズムのひとつで「Web上の情報の重要性を測る指標」として知られています。
このシステムはリンクの数や質を基にしてページの信頼性を評価し、検索結果の順位付けに大きな影響を与えてきました。
とくに他のサイトからの被リンクが多いページほど、高いランクを獲得する傾向にあります。
今回の記事では、そんなページランクがSEOにおいてはどんな意味をもったり、どんな関係性があるのか、またランク向上でどのような効果があるのかを紹介していきます。
ページランクとは?
Googleが開発した、Webページの重要性を評価するアルゴリズムのひとつです。200以上もの基準に基づいて、Webページの相対的な人気や重要度を評価するための指標のことを指します。
具体的には「0~10の11段階」でWebページをランク付けしており、こちらの数字が大きいほど検索エンジンからの評価が高いということになります。
このシステムはページへの被リンクが「投票」として機能するという考え方でおおよそ差し支えありません。つまり質の高い被リンクが多いページは、より高いランクを得ることができます。
以前はツールバーを通じて各Webページのスコアを確認できていました。しかし2016年にこの機能は廃止され、現在ではユーザーが直接確認することはできなくなっています。
とはいえ確認できなくなっただけであって、依然として検索アルゴリズムに組み込まれており、ページの評価に影響を与える重要な指標として機能しています。
参考: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ページランクはSEOとどんな関係?
ページランクが高いほうがSEOに強いというメリットがあります。他のページからのリンクが多いことを示す指標として機能するため、コンテンツの信頼性や人気を反映していることから、SEO施策として無視できるものではないです。
SEOコンサルティングにおいて必ず押さえておきたいアルゴリズムの1つです。
ただスコアを向上させることが直接的に検索順位を向上させるわけではなく、他のSEO戦略も同時に考慮する必要があります。スコア指標はあくまでランキングアルゴリズムのひとつにすぎないからです。
アルゴリズムにはもっとたくさんの要素があり、それぞれがSEOに異なる影響を及ぼしています。なので「ランクを向上させれば検索順位も必ず上がる」と考えるのは早計です。
過度にスコアにこだわるのではなく、質の高いコンテンツや幅広いリンク戦略を追求することが重要です。ランクが高いに越したことはないものの、SEO全体の戦略としてバランスを考えることが重要といえます。
ページランクの数字が決まる基準
ページランクの数字が決まる基準は、主に以下です。
- 被リンクの数
- 被リンクの質
- スパムに値するリンク行為の有無
それぞれ、順を追ってご紹介します。
被リンクの数
ページランクの数字が決まる重要な基準のひとつが、被リンクの数です。被リンクとは「他のWebサイトから自サイトへのリンク」のことを指し、この数が多ければ多いほどランクが高くなる傾向があります。
しかし数だけに頼るのではなく、戦略的なリンク獲得がカギです。たとえば単純に被リンクの数を求めるだけでなく、関連性の高い業界のブログなどからのリンクを目指すことで、SEOにより強くなります。
被リンクの質
被リンクの質も非常に重要な要素です。数多くのリンクを持っていても、それが低品質なサイトからのものであれば、逆にSEOに悪影響を与えることがあるからです。
権威あるサイトや関連性の高いコンテンツなどから得られる、「高品質な被リンク」を目指すのがおすすめです。たとえば業界の第一人者や有名メディアからのリンクは、ランクを大幅に向上させる要因になります。
被リンクの質は、そのリンク先がどれだけ多くのトラフィックを持っているか、どれだけの信頼を受けているかにも左右されます。
そのため被リンクの獲得を目指す際は、量だけでなく質にも注目しつつ、信頼できるサイトとのネットワークを築くこともSEOにおいて不可欠です。
スパムに値するリンク行為の有無
ページランクを決定する基準のひとつが、スパムに値するリンク行為の有無です。Googleはスパム行為をとくに厳しく取り締まっているからです。
たとえばリンクファームや自動生成された低品質なサイトからの被リンクは明らかにスパムとみなされます。
これらのリンクが多く存在するサイトはランクが低下するどころか、ペナルティが課される可能性があり、結果的に検索順位が大幅に下がることにつながります。
またスパムに該当するリンク行為には、過剰なキーワード使用や、関連性のないサイトからのリンクを自動生成する行為も含まれています。
ページランクを高めるメリット
ページランクを高めるメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 検索順位が上がる
- 信頼性が上がる
- コンバージョン率が上がる
それぞれ解説していきます。
検索順位が上がる
ランクはアルゴリズムの一部として、サイトの信頼性や人気度を評価する大きな指標であるためです。
この指標が高いほどそのページをより信頼できるものと判断するので、検索結果で上位に表示されやすくなり、必然的にユーザーの目に触れる機会が増加します。
これにより自然なトラフィックも増え、さらなる売上向上やさまざまなビジネスチャンスを得られることにもつながります。
信頼性が上がる
ランクはサイトの重要度や人気度を評価する指標です。その数字が高いほど、検索エンジンはそのページを信頼できると判断します。
「信頼性の高いサイト」はユーザーからの評価も自然と高くなり、リンクされやすくなるため、さらに信頼性が強化されるという好循環を生み出します。
信頼性が上がることでユーザーはそのサイトのコンテンツをより信頼するため、商品を購入したりする際に安心感を持つようになるものです。したがってリピート率の向上にもつながりやすくなります。
コンバージョン率が上がる
ランクを高めることは、コンバージョン率の向上も期待できます。ランクが高いサイトは検索結果の上位に表示されやすくなるからです。
これによってアクセス数が増えるだけでなく「信頼性が高い」と評価されるため、ユーザーがそのサイトの情報や商品・サービスに対して安心感を持ちやすくなります。
ページランクを高めるためのポイント
この章では、ランクを高めるポイントとして、以下の2つをご紹介します。
- より多くの被リンクを獲得する
- 内部リンクを最適化する
より多くの被リンクを獲得する
まず被リンクを増やすことが重要なポイントです。ランクは被リンクの数がもっとも大きな要素を占めているからです。
その被リンクを獲得するには、やはり質の高いコンテンツを提供することが最も効果的です。
ユーザーにとって本当に価値がある、本当に欲しいと思われている情報を簡潔に発信することで、自然と他のサイトやブログがリンクしてくれるようになります。
なおクラウドソーシングサイトなどでは、被リンクを購入・販売するワーカーも見られますが、関わらないほうが賢明です。Googleはサイトどうしの関連性やタイミングなども見極めてランクを決めるため、高確率で購入したことが発覚してしまうためです。
内部リンクを最適化する
内部リンクの最適化も、ランク向上のポイントのひとつです。内部リンクとは「同じサイト内のページ同士をつなぐリンク」のことです。
これを効果的に使うことで検索エンジンのクロール効率を高め、各ページの重要度を示すことができます。内部リンクが適切に配置されていると、検索エンジンはサイト構造を理解しやすくなり、とくに重要なページを高く評価するようになります。
被リンクのように周囲からリンクを貼ってもらうのではなく、自社のサイトの記事を自社のコンテンツに貼るだけなので、難易度は高くないです。しかし、もちろんむやみやたらに貼るだけでは効果は半減します。
内部リンクを最適化するためには、以下のようなテクニックがあります。
- まず重要なコンテンツページへリンクを集中させる
- リンクテキストにはそのページの内容を的確に表すキーワードを使う
- なるべく多くのページの適切な箇所に適切な数のリンクを張り巡らせる
上記のような工夫をすることでユーザーのサイト内回遊も促進され、滞在時間の増加や直帰率の低下といったメリットが得られます。
現在のページランクを調べられる有料計測SEOツール
この章では、現在のページランクを確認できるSEOツールとして、おすすめを以下のとおりご紹介します。
参考:ページランク計測ツール4選!代替えSEO指標について解説
- Moz
- Ahrefs
- Majestic
Moz
MozはSEOツールのひとつで、ページランクに代わる指標として「ドメインオーソリティ」を提供しています。これは「ドメイン全体の評価」を示すもので、ページ単位の評価を行うランクとはすこし異なります。
ドメインオーソリティは外部リンクの数やリンク元の信頼性、専門性などを基準に算出されたもので、アルゴリズムをもとに作成されました。
ページごとの測定は不可能なものの、MozのドメインオーソリティはSEOの重要な代替指標として扱われており、月額料金はスタンダードプランで99ドルから利用可能です。
Ahrefs
Ahrefs(エイチレフス)は、ページランクの代替指標として「URLレーティング」と「ドメインレーティング」を提供するSEOツールです。
URLレーティングは個々のWebページ単体の評価を測定するもので、一方のドメインレーティングはドメイン全体の評価を測定する点が主な違いです。
Ahrefsの利点は、ドメイン単位だけでなく各ページごとに評価を確認できることです。加えてランクに限りなく近い結果を得られることから、非常に信頼性の高いツールとされています。
料金は月額99ドルからの提供です。お試しプランも有料にはなるものの、7ドルで7日間という安価で利用できます。
Majestic
Majesticも有料SEOツールのひとつで、こちらもページランクの代替指標「トラストフロー」と「サイテーションフロー」を提供しています。
トラストフローはリンク元の質、および関連性を重視した指標で、信頼性の高いサイトからのリンクを評価するものです。一方サイテーションフローは単純にリンクの量を評価するもので、リンク数が多いほど高いスコアが得られます。
これら両方の指標を用いることで、Webサイトの外部リンクの質と量を総合的に把握でき、SEO改善に役立ちます。
料金プランは月額49.99ドルから利用可能ですが、お試し期間が提供されていない点がネックとなります。
サイテーションフローとは何?
サイテーションフローは、前述で紹介した有料SEOツール「Majestic」で使われる指標のひとつで、「特定のWebページに対し、他のサイトからどれだけ多くのリンクが集まっているか」を示す数値です。
リンクの数が多いほどサイテーションフローの数値も高くなりますが、この指標はリンクの「量」に焦点を当てており、リンクの質については直接反映されません。
つまりリンクの数が多いページは影響力があると見なされるため、サイテーションフローが高くなりますが、質が低ければ「信頼性」に欠けるためSEO効果は薄くなります。
そのためMajesticでは、リンクの質や信頼性を評価する指標「トラストフロー」と併用して評価されています。
ページランクに関するよくある質問
この章では、ページランクに関するよくある質問に答えていきます。
現在ページランクは停止された?
停止されてはおらず、数字を確認することができなくなっただけです。以前までツールバーからかんたんに確認できましたが、2016年以降は確認することができなくなりました。
しかし、検索ランキングに影響を与える「Real PageRank」アルゴリズムは現在も機能しています。いまやランクの確認はお金を払わなければできないものの、検索アルゴリズムでは引き続きページランクが考慮されています。
Googleでページランクを確認する方法はある?
直接確認する方法は存在しないのが現状です。以前までツールバーを使って確認できましたが、この機能は2016年に廃止されました。
そのため、現在ではお金を払ってツールで見る必要があります。MozやAhrefs、Majesticなどの有料SEOツールを使用して、代替指標(ドメインオーソリティやトラストフローなど)を確認する方法が一般的です。
まとめ
ここまでページランクの概要やメリット、確認方法、おすすめツールなどを紹介しました。ページランクはおおまか被リンク数の数と質に比例して上がっていくもので、SEOとは親密な関係にあります。
高いランクを獲得することで検索結果で上位表示されやすくなるので、被リンクの質と量を視野に入れつつ、コンテンツを制作していくことをおすすめします。